Special to me
『真子が、俺が家にいない時、ひとりで寂しくないかな、それだったら、今まで通り働いて、龍成社という企業のために尽くす生活って言うのも、全然ありだと思う。それに・・・真子を辞めさせてしまったら、純さんの奥さんの二の舞になってしまって、むしろ罪悪感に苛まれるのは俺かもね』

美優紀さんのことか・・・結婚するまでの経緯は、ジュン兄から大体聞いていた。

でも、美優紀さんは幸せそうだけどな。

『純さんが最大に後悔しているのは、美優紀さんが仕事を辞める過程だ。きちんと2人で話し合って、将来のビジョンを決めた上で辞めたのなら納得できるけど、それをせずに勝手に辞めて相手の気持ちを測るようなことになってしまったから。純さんたちはそれで結果的には幸せになれたけど、一歩間違うと心が離れてしまう原因にもなりかねない』

晃樹は一呼吸置いた。

『だから、真子とはきちんと話し合って色々決めて行きたいんだ。この先、さまざまな変化があるはずだ。仕事だって全然違うセクションに行くかも知れないし、接する同僚も変わったり場所も変わったりして環境の変化もあるだろうし、病気だってするかも知れないし、子供だって生まれるかも知れない。だから壁にぶつかる度にきちんと話し合って、よりよいベストな選択を真子として行きたい』

晃樹は私の右手を握った。
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