Special to me
宗岡駅の敷地に止めていた俺の車に乗り込む真子。

いつもより視線が熱いような気がするんだけど・・・

車の中でもずっと俺の事を見ている。

「真子、どうしたの?さっきから俺のことずーっと見てるよね」

『だって・・・』

俺の指摘があっても、俺への視線は止めない真子。

「どうしたんだよ」

信号が赤になったので俺は真子を見た。

『あ・・・』

と少しビクついた真子。

「何か俺についてる?」

『そうじゃなくて・・・』

真子は俯いて顔を赤くしているように見える。

信号が青に変わり、車を発進させる俺。

『あのね、私、晃樹のスーツ姿フェチかも』

スーツ姿?

あ、そうか。
真子は俺のラフな私服か制服しか見たことがなかったんだ。

「俺のこの姿、初めてなんだよね、真子」

『うん』

「でも、鉄道員だって研修で他の施設に行く時や、それこそ先日の助役試験の時だって、基本はスーツだよ。俺にとっては珍しいことではないけど、真子には新鮮だったか」

『うん』

真子は再び俺を見ている。

視線を強く感じる。
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