Special to me
*人生における一番の変化

★~side KOUKI~

6月に入った。

俺の誕生日プレゼントにと、あの後真子が腕時計をくれた。

"私とお揃いなの"と、自分は盤の小さい同じデザインの腕時計を出した。

少し重みがある、値の張りそうなアイテムだ。

それを最近はずっと左腕につけて、いつも仕事をしている。

そして、駅長室に呼び出された俺。

普段そんなに駅長と接点はないので、間違いなく助役試験の結果だろう。

俺は左腕の腕時計の上に右手を一度重ね、深呼吸して駅長室に向かった。

―コンコン―

中から"どうぞ"と言われたので入室すると、そこには駅長と、曽我さんがいた。

『君を呼び出したのは他でもない、助役試験の結果だ。私が口で言うのは簡単だが、今回は自分で確かめろ』

と、結果が入っていると思われる封筒が駅長から渡された。

既に封は切られており、俺は中身を出すだけ。

A4の紙には俺の名前、社員番号、生年月日が書かれており、その下に結果・・・

"合格"の赤い文字。

俺が結果を認識したのを見計らって、

『米原、おめでとう』

駅長がタイミング良く声を掛けてくれた。
< 170 / 255 >

この作品をシェア

pagetop