Special to me
驚いた。
確かに、真子に追いつきたいと思って必死に勉強した。

高校生の頃でもやらなかったくらいの集中度合いで。
こんな形で結果に表れるとは思わなかった。

『あ、そうだ、米原、結婚するんだよな』

駅長が曽我さんの言葉で思い出したように言った。

「はい。社宅申込みの手続き書類を、印を押して提出していただき、ありがとうございます」

『あとは"婚姻受理証明書"か"住民票の写し"が必要になるんだが、入籍はいつするんだ?』

「明日、役所に行こうと思っています」

6月8日。

誰の誕生日でもない。

俺が・・・前の彼女との結婚をやめた日だ。

それでもあの時は一旦は社宅申込みの手続き書類を提出していて、その日付が6月8日だった。

あれから3年が経つ。

『良かったな。本当に結婚すべき人に出会えて。あの時の君の決断は、間違えてなかったってことだ』

事情を知る駅長にそう言われて、救われた。
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