Special to me
「いいですけど・・・事務室に私物の携帯の持ち込みは禁止なんです」
『紙とペンを貸してください』

その言葉に勢いを感じた俺は、紙とペンを渡した。

それに自分の携帯の番号とメールアドレスを書いた彼女。

『紙をもう一枚ください』

と言うので差し出すと、それをそのまま俺に返してきた。

『米原さんの番号をここに書いてください』

「分かりました」

俺も彼女と同じように番号とアドレスを書いた。

『後で、登録しておいてくださいね』
「約束します。この後仮眠室行く時には携帯が使えるのでその時にでも」

時刻は午前2時半。

『私、そろそろ帰ります。酔いもすっかり醒めましたし、米原さんも寝なきゃならないですよね』
「そうですね」

『最後に、ひとつ教えてください。米原さんの下の名前を』

そう言えば、俺の下の名前を彼女が知る機会がなかった。

「先ほどの紙を貸してください」

番号とアドレスを書いた紙だ。
そこに俺は自分の名前を記した。

"米原 晃樹"と。

『ヨネハラコウキさん、ですか?』
「はい、そうです」

『何となく、素敵な名前に感じます』
「ありがとうございます」
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