Special to me
"また、連絡します"と言って彼女は出て行こうとしたので、

「あの、家に着いたら、メールください。僕は寝てしまっているかも知れませんけど、あなたが無事に帰れたかどうかが心配なので」

『分かりました』

そう言って彼女はニッコリ笑った。

『ありがとうございました』

と一礼して、俺が少し開けた駅のシャッターから外へ出て行った。

俺は仮眠室に行くと、すぐに彼女の携帯とメールアドレスを登録した。

登録し終えた直後、彼女からメールが来た。

―"米原さんへ。今日はありがとうございました。無事家に着きました。また連絡します。お仕事、頑張ってください。真子"¬―

良かった、無事に家に帰れた。

俺は彼女に返信した。

―"真子ちゃんへ。無事に家に着けて何よりです。今日で僕を覚えてくれましたか?僕もまたお話ししたいです。よろしくお願いします。米原晃樹"―

彼女の前では"宇都宮さん"と呼んでいたのに、メールでは"真子ちゃん"にできてしまう俺は、軟派な人間だと思われるだろうか。

でも、俺はそう思われてでも、彼女との距離を縮めたいと思った。

それでも駅員とお客さんの関係から今日は少し、進歩した夜だった。
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