Special to me
朝の日課である社長へのスケジュール伝達を終えると、向かいの人事部のフロアに出向いた。

『あら、奥様、おはよう』

人をからかうセリフを言う恵美加。

「おはよう。決まったよ。はい、結婚届と旧姓使用届。ちゃんと室長の印も貰ったから」
『旧姓使うんだね、分かった』
「結婚式終わるまでね」

私が決めたこと。

それは、結婚式までは旧姓を使い、そこからは米原姓になろうと言うことだった。

『なるほどね。で、結婚式はいつやるのよ』
「…予定という名の未定」
『つまりこれから考えるってことか。アンタらしいね。マイペースって言うかさ』

結婚式の話は、晃樹とはしたことがない。

話をしたら、何て言うかな。

"恥ずかしい"とか言われちゃうかな。

夕方、定時になる前に携帯に晃樹からメールが来た。

―"社宅の鍵、受け取ったよ"―

晃樹のこの文面を見て思った。
今週の土曜日に、私は西ノ森駅前社宅の住人となる。

と、言うことは、宗岡駅を当然使わないので、駅での晃樹の姿がもう見られない。

うぅ…テンションを上げて仕事が出来るかちょっと心配になったのは、私も相当"晃樹依存性"ってことだよね。

こうなったら、とことん依存性になってやる!
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