Special to me
だから晃樹には、

―"早く私も引っ越して、晃樹の奥さんがしたいな"―と返信した。

―"うん。早くおいで。明日ある程度荷物入れちゃうから、会社帰りにでも来てよ。"―

翌日、会社帰りに社宅に立ち寄って、晃樹から鍵を受け取った。

まだ、晃樹のものしかないので割とガランとした印象。

『夕飯、まだでしょ?これ一緒に食べない?』

と、晃樹が持って来たのは、明らかに手作りの煮物やおにぎり。

『千尋さんが持ってきてくれたんだよ。自炊するにしてもまだ準備出来てないでしょ?って。しかも真子が来ると言ってしまったら、追加でおにぎり作ってくれちゃって』
「千尋さん、まだ仕事しているんじゃなかった?」
『うん。だから仕事が終わってから作ったみたい。曽我さんが急遽非出になっちゃったしね』

非出・・・2日間連続で泊まることね。

「何だか、みんな偉いなぁ・・・私がちっぽけな人間に思えるよ」
『どうして?』

晃樹はインスタントの味噌汁を用意してくれている。

「私、誰の役にも立ててないし、そんな能力もないし」
『そんな寂しいこと言うなよ』
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