Special to me
『風の噂で、今度結婚式を挙げると聞いて、飛んできたのよ』

多分、俺が出席の意思を確認している中で、佳世とまだ連絡を取り合っている奴がいたのだろう。

いずれにしても、俺の勤務が終わるのを待ち伏せしているなんて穏やかではない。

「何か、用?」

相手にしたくないので冷たく言い放った。

『ええ、お話しがあるの』
「手短にお願いできるかな」
『ここじゃ何だから私、今日は車でここに来ているの。乗って行かない?』

以前までの俺の性格なら、素直に佳世の車に乗っていた。
でも、今日は違うと思った。

真子と"結婚式が終わるまではけじめをつけよう"と話してはいるものの、それでも俺は既婚者だ。

女性の、しかも元彼女の車に同乗するのは、違うと思った。

「話なら、そこのコーヒーショップで聞こう」
『私の誘いには乗らないのね。いいわ。不本意だけどあなたの提案に従ってあげる』

相変わらず高飛車。3年ぶりに会ったにもかかわらず、全く彼女には人間性の成長が見えない。
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