Special to me
『何かコウちゃん、そんなに冷たい人だったっけ?』

平然と彼女が言うので、段々怒りがこみ上げてきた。

「自分の相手に対する態度によって、その相手から逆に受ける態度が決まってくるものだよ」
『どういうこと?私があなたと結婚してあげるって言ったのに、最後に断ったのはコウちゃんでしょ?』

ほら、その"してあげる"って言う上から目線。
ひとり娘で両親に溺愛されて育った結果が、こんな人間の出来上がり。

さらに俺が押しに弱かったことも手伝って、彼女を調子に乗らせてしまったんだ。

けど、俺は3年前とは違う。
真子という伴侶がいて、これから下の駅員をまとめる助役になるんだ。

あの頃だって、彼女の言うことにずっと肯定していたわけではないけど、何も主張せずにいたのでは、元の木阿弥だ。

「では聞くけど、俺の意思をきちんと確認しないまま俺を通さずに社宅の申請書を手に入れて、俺のアパートに来た時に、俺を騙して印鑑の場所を聞き出して勝手に申請書に俺の印を押して、俺の知らない間に駅に押し掛けて申請書を駅長に提出したのはどこのどいつだ?」
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