Special to me
その後、牛窪に聞いた話。

俺が結婚式を挙げることを佳世に話したのは牛窪。

これをきっかけに友達関係から恋人として佳世に振り向いてもらえたらと思っていた。

ところが、佳世は俺に会いに行ってしまい、千尋さん経由で曽我さんから連絡をもらった牛窪は、俺と佳世がよりを戻すのではないかと思い、慌ててあの場に駆け付けた。

佳世が俺に会いにきた目的は、田舎暮らしの日常に飽き飽きしていて、俺を困らせたくてからかいに来た。

自分は無職で、父親から小遣いをもらうだけだったから、慰謝料取れれば取りたかったらしいけど、俺が結婚すると聞いて、俺だけが幸せになることが許せなかったらしい。

どこまでドSなんだ。

でも、千尋さんや牛窪の登場は予定外だったらしく、しかも俺が既に入籍を済ませていたこともあり、俺をからかう目的は達成できなかった。

牛窪と佳世はあれからようやく心が通じ合えた。

ただ、ひとつひとつ過去の行動に対する誤解を解いていく必要はあるようで、まだまだ完全に結ばれるには時間がかかりそうだと牛窪は話してくれた。

そうだ、苦労すればいい。
俺だって、真子と心が通じるまでに8年半かかっているんだ。

運命の出会いを実らせるのに、努力が必要な時があるんだということを、思い知るがいいよ。

俺は毎日、その実らせた真子との生活に、幸せを感じずにはいられなかった。
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