Special to me
『帰ろうか、俺達』
「うん」

その言葉に、曽我さんが立ち上がった。

『このお礼は、必ずさせてもらう。それといただいた招待状、ふたりで行かせていただくから。あとで返事は正式に返すよ』

「ありがとうございます」
『ありがとうございます』

家に帰って、夕飯を一緒に作る。

「千尋さん、無事でよかったなぁ」
『真子、さっきからその言葉ばっかりだな』
「だって、出産って女の一大イベントだよ。不安だっただろうし、今は曽我さんが一緒だろうし、良かったなって」
『まぁね』

晃樹はフライパンを揺らしながら言う。

"さ、出来た"とお皿に盛りつけ始めた。

『でもさ、千尋さんの言う"鉄道員の妻には覚悟が必要"っていうセリフは、俺には堪えたな』

盛り付け作業の手を休めることなく、晃樹は続ける。

『真子も、自分も覚悟しなくちゃって思ったでしょ?でも、簡単に諦めないで欲しいと思うのが俺の本音』
「諦めない?」
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