Special to me
これから毎日見るはずなのに。
披露宴の間もずっと填めていたはずなのに。

たったこれだけのことで、私はキュンと胸が音を立てたのを感じた。
だからもっと近くでその手を握りたくて、素直に晃樹の提案に従った。

隣に座って、晃樹の左手を握る私に、

『今は仲直りの儀式じゃないじゃん』

と、笑った。

「だって、この結婚指輪をしている手が、私を惹き付けたの」
『手、だけ?』

晃樹は、私が握った左手を離し、その手で私の顎を引き上げて、そのままキスをした。

その場で押し倒される私。

「え?ダメダメ」
『どうして?俺はこの時間の間に真子をずっと抱き続けたいんだけど』
「だって、せっかく髪をセットしてもらったのに、乱れちゃう」

"アハハハ"と笑った晃樹。

『でも、そんなんじゃ、拒否理由にならない。なぜなら・・・』

晃樹は私の隣に寝そべって、私を自分の体の上に乗せた。

『こうやって、真子が上になればいいだけの話。これなら問題ないでしょ?』

上から見る晃樹は、すごく色気があって、目が輝いていた。

その表情に、さらにドキっとしてしまった私は、決して晃樹に流されたわけではなく、自分からキスをした。
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