Special to me
『僕は真子ちゃんの年齢は大体分かっていたけど、君は僕の年齢を知るわけがないよね。僕は真子ちゃんの4つ上だよ』

「4つ…今年28歳ですか?」
『うん。誕生日はもう来たから、まさに28』

そうか。

もう米原さんの誕生日は過ぎてしまったんだね。

お祝いするチャンスは一年先かぁ。

「私の年齢、何で分かったんですか?」
『時計の時、高校受験だって話だったから』

でも、そんな昔の話、よく覚えていてくれたな。

『ごめん。僕のこと、怖いと思ってる?』

怖い?

「いえ、むしろ嬉しいです」

そんなこと、考えもしなかった。

「ただのお客さんの私を、覚えていてくれて、ありがとうございます」

米原さんは、切れ長の奥二重の目で私を優しく見つめてくれた。

『長かった』
「え?」
『長かったよ、8年半近く。やっと距離が少し縮んだような気がする』

"僕は…"と米原さんは続けた後、少し次の言葉をためらっている様子だ。

「どう、しました?」

『いや、これ…』

と、1枚の紙を見せた。
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