Special to me

2年前に別れた米原さんの彼女。

駅の同僚が、宗岡駅の構内にあるパン屋さんで働くバイトの女の子と繋がりがあり、そこから開かれた合コンのようなもので知り合った。

駅員という仕事は男社会。

最近は若干ながら女性の駅員や車掌も採用されているが、まだまだ少ない。

つまりは女性と出逢う機会がほとんどない。

米原さんはその合コンに人数合わせで付き合い、その彼女と親しく話すようになった。

その合コンから程なく彼女が誕生日を迎えると知った米原さんは、特に深い気持ちはなく"知り合い"として花束を送ってあげた。

『俺のその行動が、彼女を大いなる勘違いへと導いてしまって』

米原さんが自分に気かあると思い込んだ彼女は

"私は23歳で結婚しなければならない運命なの"

と、米原さんのことが好きなのかどうか分からない言動で、トントン拍子に結婚する話が進んだ。

しかし、米原さんからは、

"好き"
"結婚しよう"

どちらも彼女に伝えた覚えがない。

それにもかかわらず彼女の勘違いは続き、米原さんも彼女のペースにすっかり流されていた。