Special to me
お互いの両親に会いに行き、式の日取りも決め、
彼女は"寿退職"と同僚に自慢してパン屋を辞めた。
ところが、結婚後の住まいを決める時、家賃負担を減らすため、鉄道会社の社宅に入ることを望んだ彼女。
都心の社宅に空きが出た情報をどこからか得て、彼女は郊外の社宅よりも都心を望んだ。
しかし、社宅に入るには、入籍していることが条件。
結婚式後では、他の社員に取られてしまう。
『"式の前に入籍しよう"と言ってきた彼女を見て、俺はこの結婚は違うと確信した。式まではあと半年も先だったのに。彼女は俺のことなんて見ていない。欲しかったのは鉄道会社の社員の妻
としての安定した生活だけだったんだ』
"それに"と続ける。
『心のどこかには、常に君の存在があった。あの時計の件以来、話もしたことがないのに』
そう言って米原さんは苦笑いをした。
そんな言い方したら、私が彼女のように勘違いしちゃうよ。
「でも…そこまで彼女は盛り上がって、どうやってお断りしたのですか?」
米原さんは透明のプラスチックのカップを回しながら話す。
彼女は"寿退職"と同僚に自慢してパン屋を辞めた。
ところが、結婚後の住まいを決める時、家賃負担を減らすため、鉄道会社の社宅に入ることを望んだ彼女。
都心の社宅に空きが出た情報をどこからか得て、彼女は郊外の社宅よりも都心を望んだ。
しかし、社宅に入るには、入籍していることが条件。
結婚式後では、他の社員に取られてしまう。
『"式の前に入籍しよう"と言ってきた彼女を見て、俺はこの結婚は違うと確信した。式まではあと半年も先だったのに。彼女は俺のことなんて見ていない。欲しかったのは鉄道会社の社員の妻
としての安定した生活だけだったんだ』
"それに"と続ける。
『心のどこかには、常に君の存在があった。あの時計の件以来、話もしたことがないのに』
そう言って米原さんは苦笑いをした。
そんな言い方したら、私が彼女のように勘違いしちゃうよ。
「でも…そこまで彼女は盛り上がって、どうやってお断りしたのですか?」
米原さんは透明のプラスチックのカップを回しながら話す。