Special to me
無意識に・・・俺は彼女を抱きしめた。

「俺にとって真子ちゃんが宗岡駅のいちお客様として扱うのは今までもこれからも一緒。でもそれは、真子ちゃんがあの駅構内にいる時の話だ」

『どういう、こと?』

彼女は俺に体を預けたまま尋ねた。

「仕事で公私混同はできない。それは龍成社の秘書をやっているくらいだから、真子ちゃんにだって分かるだろ?駅構内で制服を着ている俺は、まさに仕事中なんだ。それでもその姿を真子ちゃんに見て欲しくて、シフト表を渡したんだ。もちろん、休みを合わせたいという目的もあるけれど。それって、その他大勢のお客様に対してすることかな」

『米原さん、私の気持ち、お見通しなんだね』

彼女は俺から体を離すと、自分のバッグから何かを取り出した。

『これ、秘書の必須アイテム』

俺に見せたのは、システム手帳。

『これに、シフト表の米原さんの予定、9月全部を書き込んでしまいました』

「龍成社の社長の予定と、俺の予定が一緒に書いてあるなんて、恐れ多いな」

『私には重要な予定です。えっと・・・明日は1番になってますけど・・・』
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