Special to me
ランチタイム。

今日はひとりで秘書室脇の共用テーブルに座っている。

ここは社員食堂に行かず、お弁当などを持参して食べる時に座るところ。

私は"母が作った"弁当を広げている。

お昼の1時間弱、ここには誰も戻ってこない。

米原さんが上りホームにいたということは今日は明け。
今頃は仕事から解放されているはず。

すると、昼休みを知ってか、米原さんから電話がかってきた。

"今、大丈夫?"と。

「はい。大丈夫です!」

あ、しまった。声が大きかった。

自分の声に驚いた私。

少し抑えることにした。

"今度の一泊旅行さ、鬼怒川温泉に行ってみようよ"

「はい!旅行に行けるならどこでも大丈夫です。米原さんは、どこに今いるのですか?」

"もう、家にいるよ。昨日から今日にかけては事故で電車が遅れて、ちょっと疲れたし、明日も仕事だから"

手元のシステム手帳を確認すると、今日は明けを表す"非"、明日は"3"となっている。

「連続で出勤ですか」

"そう。勤務を繰り返すことを、"デヒデヒ"って俺達の間では言っているんだよね"

あ、そうか。

明けが"非"だから出勤の部分を"出"に変えて並べれば"出非出非"となるからか。
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