Special to me
ここは6階。

結構見晴らしがいい。

『たまたま空いていたんだ。普段は人気でなかなか予約が取れないらしいから、使ってあげないとな、ここ』

室内露天風呂付の部屋?

だって、米原さんとは、まだ・・・

いきなり飛躍しすぎだよ。

『鉄道会社系列の旅行会社に知り合いがいてさ、すごくこの部屋を推されて、断り切れなかったっていうのもあるんだけどさ』

米原さんはそう言って苦笑いした。

時刻はそろそろ18時。
夕食が運ばれてきた。

「こんな、豪華な・・・」
『俺だってなかなかないよ。駅員ってそんなに給料高くないしね』

良かった。
米原さんと価値観の違いはなさそうだ。

夕食が終わると、今度は布団を敷くおじさんがやってきた。

私達がいるのをお構いなく淡々と敷いていくおじさん。

ふたつ並んだ布団。

おじさんにしてみれば当たり前なんだろうけど、私にしてみれば、ドキドキしてしまう状況。

そんな私を知ってか知らずか、米原さんは、

『真子ちゃん、先に露天風呂、入ってきなよ』
「え?」
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