Special to me
『大丈夫だよ。俺、覗いたりする趣味はないから』

そうじゃなくて・・・米原さんも入りたいのでは?
汗を流したいんじゃない?

「いえ、米原さんが先に入ってください」

『女の子の方が大変でしょう。お風呂を出ても、髪を乾かしたりとか、スキンケアとか』

どうしてそんなに気を使ってくれるのだろう。

女の子の扱いに慣れている?

『あ、俺、姉と妹の3きょうだいの真ん中でさ。勢力が女が強い家で育っているから』

私の心を読み取ったのか、米原さんは私を安心させようとしてそんな気を使わせる説明をさせてしまった。

「ご、ごめんなさい。では、お先に入らせていただきます」

引き戸を開け閉めし、脱衣場で全てを脱ぐ。

一応、寝る時のための部屋着を持ってきたけど、ここは温泉つきの和室。

普通は浴衣を着るよね。

壁には鏡があった。

私の体、大丈夫かな。

この後、何かがあるのか全く分からないけど、とりあえず今となってはどうしようもない自分の幼児体型にため息をついた。
< 51 / 255 >

この作品をシェア

pagetop