Special to me
『晃樹って・・・思ったよりいい体つきなんだね』

そう言うと、俺のイタズラしていた手をどかし、体ごと俺の方へ向けた。

『いい胸板してる』

と、俺の胸のあたりに両手を置いた。

「高校まで、柔道部だったんだよ」

まぁ、高校で取れる限界の二段で終わってしまったけどね。

『へぇ、どうして、鉄道会社に就職しようと思ったの?』

真子は俺を見つめて聞いてきた。

「できるだけ安定した業種で、人の役に立てて・・・何より、転勤がないことが魅力だったから」

『何だ、てっきり鉄道オタクかと思っちゃった』

「当時は、鉄道より車の方が好きだったな。鉄道の知識もある程度はあるけど、オタクには負けるね」

オタクか。
鉄道会社で働く人はみんなそうかと思われている節はなくはない。

中には本当に鉄道オタクな駅員もいるから。

でも俺は少なくとも違う。

真子の顔を見ると、俺は彼女の変化に気付いた。

「真子、そこの淵に座って」
『え?嫌だ。裸が晃樹に丸見えになっちゃう』
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