Special to me
『真子は俺の傍にいれば、十分だから』

晃樹は、気を使ってそう言ってくれたんだろうけど、それじゃ、まるで私はお人形だ。

「そんなの嫌だ。私は晃樹の役に立ちたいから、頑張る」
『分かった。でも頑張りすぎるなよ』

晃樹はそう言って私に微笑んだ。

ホテルをチェックアウトして、あとは帰るだけ。

車に乗った私達は、帰路に向かう。

『ねぇ、真子の誕生日って、11月21日?』

「どうして分かったの?」
『メールアドレスだよ』

あ、そうか。

私はメールアドレスに誕生日の数字を入れているんだった。

『その日は明けか休みになるように調整しておくね』
「うん!」

そう言えば、私は家族以外に誕生日祝いをしてもらったことがない。

昔、付き合っていた彼氏は、私の誕生日は友人と飲みに行ってしまい、すっ飛ばされた。
全く。

比較はしたくないけど、その彼氏と晃樹とでは、私の扱いが違いすぎる。

晃樹の結婚寸前まで行った彼女には感謝しないと。

だって、そのおかげで私は晃樹と付き合えているんだもん。
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