Special to me
『まだ、真子と離れたくないんだけど』

車は間もなく高速を降りる。
でも時間はまだ午後の2時。

車はどこへ向かっているのだろう。

あれ、ここは、菅原駅の繁華街。

賑やかな道を過ぎたところの、白亜のアパートの前に車を停めた。

『ここで降りてもらえるかな』
「え?」

『あと、これでうちに入っててもらえる?うちは201号室』

渡されたのは、間違いなく家の鍵。

『俺は、この車を停めてくるからさ』
「うん、分かった」

私は車を降りて、このアパートの201号室に着いて、鍵を開けて家に入る。

中は、1K。

整然としており、散らかっている様子は全くない。

"車が好きだった"という話のとおり、マガジンラックには車の雑誌が数冊。

シングルのベッド。
ローテーブルにテレビ。
テレビ台の下には恐らくノートパソコンが格納されている。

キッチンは、1Kのアパートには似合わない大きな冷蔵庫。
いかにも料理をしていそうな調理器具が並んでいる。

しばらく、そんな部屋をぐるぐる眺めていると、ドアが開いた。
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