Special to me
『お前、来年の助役試験、受けないのか?』
「迷ってます」

『駅長が推薦を出すのにはもう少し時間があるけど、彼女のことを考えたら、助役試験、受けても損はしないんじゃないのか?無理にとは言わないけどな。さ、交代の時間だぞ』
「はい」

俺は、交代でワンマンに入った。

1時間後、交代して、俺は夕飯の時間になった。

ずっと、考えていた。

真子との将来。

真子はあの大手出版社・龍成社の社員だ。
聞いてはいないけど、かなり名の知れた大学だって卒業しているはず。

それに引き換え、一介の駅係員でくすぶっている俺。

助役として仕事をする自信がない意気地なし。
真子に似合う人間になれるのだろうか。

俺は真子と肩を並べるのにふさわしい人間になる努力から、逃げている。

でも、これから先、真子と一緒にいたいと強く思う今の俺の中では、その迷いに対して答えを出すのは簡単だった。
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