Special to me
ケーキを食べると、甘くて美味しい。

でも、これ、全部食べられないなぁ。

「残りを明日会社の人に持って行って配ってもいい?」
『何か恥ずかしいけど、もったいないからいいよ』
「やったぁ」
『でも、俺からの誕生日プレゼントはこのケーキじゃないぞ』

晃樹はそう言うと、ベッドの下にある引き出しから小さな箱を取り出した。

『はい、これ。真子へのプレゼント』

箱を受け取った私は、リボンをほどいて中を開ける。
するとそこには、ブルーの宝石をあしらった、リングとピアス。

『ブルートパーズだよ。11月はトパーズでしょ?』

そう言うと私から箱を取り上げて、リングをケースから外すと、私の右手の薬指にそれを嵌めた。

「ありがとう。でもサイズがぴったりなのは、どうして?」
『さやかだよ。ここに真子が初めて来たとき、握手しただろ?その感触からの予想で8号で作らせた。さやかは、デパートのアクセサリー売り場で働いているから』

「それだけで分かってしまうもの?」
『さやかの特技だよね』

兄妹揃ってすごいなぁ。

そんな能力、私にも欲しい。
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