Special to me
今までの俺の暮らしを否定するかのようなきらびやかな世界。
そんな"一族"と、真子は仕事をしているんだ。

やっぱり、住む世界が違うのだろうか?

俺はため息をついた。

『ちょっと、大きなため息をつかないでよ。今日はクリスマスイブだよ。幸せが逃げちゃうよ』
「ごめん。ちょっと、こういうところ慣れてなくて息苦しくなっただけだから」

俺の格好、大丈夫かな。

白いシャツに濃紺のニットを重ね着して、下はカーキ色のパンツ。

でもドレスコードを誰も指摘して来なかったから、問題ないのか。

『今日はね、飲み物以外はお任せで、社長の奥様が好きなコースなんだって』
「その社長の奥様に、真子は会ったことあるの?」

『ないよ。私達龍成社の社員の立場の秘書は、あくまで主と関わるのは仕事の時だけ。おうちにも行ったことなければ、ご家族にもお会いしたことないし、地方出張にもお供しない。ゴルフ行くこともあったけど、あれは相当特別だから。プライベートでは別の"秘書兼執事"がいて、たまに電話でその人と話す程度』

秘書とは言っても、がっつり社長と付き合うわけではないんだな。
< 82 / 255 >

この作品をシェア

pagetop