Special to me
『通常、社長の外出先は、必ず社内の関連する部署の社員が同行するのよ。だから私は必要なし』

「へぇ」

『いらっしゃいませ。宇都宮さん』
『あ、こんにちは、井上さん』

髪をかっちり整えた、いかにもホテルマンらしい爽やかな男性。

『こちら、私とお付き合いしている・・・』
「米原晃樹と申します」

『私、このレストランのチーフをしております、井上と申します。宇都宮さんとは、成瀬川社長を通じて顔なじみでして』

「そうですか。今日はお世話になります」

"お飲み物のメニューをお持ちしました"と、井上さんはそれをテーブルに置いた。

『米原さん、何かスポーツをされてましたか?』
「そう、見えますか?」
『はい。肩幅や体の線が割とがっちりされているので、そうですね・・・柔道とか』
「よく分かりましたね。そうです。中学高校と柔道部でした。今ではもう全くやっていませんけど」

俺は中学高校では柔道部。
下から3番目の体重の階級で、一応二段で黒帯だ。
団体戦も補欠だったけどね。
< 83 / 255 >

この作品をシェア

pagetop