Special to me
『誕生日から1ヶ月しか経ってないから、私はいらないのに』

と、真子は遠慮したけど、やっぱり用意した。

ペアのボールペン。

書くものって、恐らく2人とも使うだろうから・・・

『ボールペン、嬉しい!いつも晃樹を考えながら仕事ができるね』

と、俺の大好きな笑顔を向けてくれた真子。

『私はね、ちょっと喜んでもらえるか自信ないんだけど・・・』

と、紙袋から出したのは、濃いグレーのマフラー。

「もしかして・・・手編み?」
『うん!グレーなら、これから寒くなってコート着てホーム立つ時、コートの下に巻いて使えないかなと思って。細い糸と細い編み棒で薄めの物を作ったんだけど・・・使えそう?』
「大丈夫。すごく嬉しい」

まさか、真子が手作りのものをプレゼントしてくれるとは思わなかった。
しかも、仕事で使えないかを必死に考えてくれた。

良く見ると、手作りなりの"味"はある。

今日の異次元な世界の緊張感を一気にほぐしてくれた。
そう思ったら、自然に、マフラーを巻いたまま真子を抱きしめていた。

『バスローブに、マフラーって似合わないね』

俺の胸にすっぽり入った真子が、そう言って笑った。
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