Special to me
翌日、駅の奥にある休憩室で曽我さんと一緒に昼ごはんの仕出し弁当を食べていると、

『で、クリスマスはどうだったの?あま~い夜は過ごせたの?』

からかうように聞いてくる曽我さん。

「それなんですけどね・・・確かに甘かったですよ、すごく。それは否定しません」
『なら、何が不満なんだよ』
「彼女との住む世界の違いです。彼女の見立てで、ゴールドヘブンリーホテルのレストランで食事をし、スイートルームにまで泊まらせてもらいました。あまりに自分の日常と違いすぎて」

あの時は、満足だった。

ただ、あの後自分の部屋に帰って、虚無感を感じてしまったのも事実で。

『はぁ?お前はさ、彼女の何を見ているのさ』
「え?」
『ちょっとズレてないか?その考え方。真面目にも程があるぞ』

"助役さん、ワンマンまでお願いします"

休憩室の外から声がした。

『はーい』

助役さんは、いつ何時、呼び出されるか分からない。

『とにかく、そんな考え方、彼女が悲しむだけだ』

と、俺の肩を叩いて、曽我さんは休憩室を出て行った。

俺の悩みは、助役試験だけで片付くものでもない。

「じゃぁ、どうしたらいいんだ・・・」

誰もいなくなった休憩室で、俺は独り言を呟いていた。
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