ウェディングドレスと6月の雨
 ……そうこうして終末。


「悪い、遅れて」
「いえ」


 アパートの前で待っていると10分遅れで穂積さんはやってきた。11時10分、もともと約束の時間から1時間もズレている。前の夜に1時間遅らせて欲しいと穂積さんからメールが来たから。


「暑かったろ」
「アパートの日陰にいたから大丈夫です」


 穂積さんは車のパネルにある時計を見た。ふう、と息を吐き、指先でトントンとハンドルを叩いた。


「もう昼になるな。先にメシにするか」


 ここから目指す遊園地までは40分ほど。恐らく混んでいるであろう駐車場に停めて入園すれば優に12時は過ぎる。園内のレストランやフードコートを利用してもいいが、恐らくは芋洗いのごった返し……。


「そうですね。途中のお店で」
「そうするか」


 穂積さんはホッとしたような笑顔になった。道端のカフェに入り、昼食を取る。今日の穂積さんは少しおかしい。元気がないというか、覇気がないというか。どうしたんだろう……。疲れてるとか、まさか神辺さんのことをぶり返してるとか。

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