ウェディングドレスと6月の雨
「穂積さん、大丈夫ですか?」
穂積さんはグリーンカレーをすくう手を止めた。
「何が」
「心ここに有らず、みたいな。遅刻した理由って、仕事でトラブルでもありました?」
「いや、無い」
「それとも……」
私がそう尋ねると、穂積さんは大きく息を吐いた。
「早く食べて目的地に行こう。遅くなる」
今度は短く息を吐いて、スプーンを握りしめた穂積さん。やっぱり神辺さんのことを考えてるんだろうと思った。何年も付き合ってきた彼女を、そうそう忘れる人の方が人間としてどうかとも思うし。
食事を終えて再び遊園地に向かう。予想通りの混み具合。駐車場の入口手前で渋滞になる。駐車場の空き待ちの列。十数台。
「混んでるな」
「そうですね。夏休みだし」
運転席の穂積さんを見ると、少し口角が上がっている。嬉しいんだろうか。思い出し笑い、とか。それも違う気がする……。
直に車は駐車場に入り、運良く手前のスペースに停められた。エアコンを切り、エンジンを切り、穂積さんは大きく深呼吸して運転席を降りた。私も続いて降りる。外は快晴、炎天下。旧盆は過ぎて残暑の類に入るんだろうけど、Tシャツから出た腕も黒のレギンスも太陽からの熱をグングンと吸収していく。
穂積さんはグリーンカレーをすくう手を止めた。
「何が」
「心ここに有らず、みたいな。遅刻した理由って、仕事でトラブルでもありました?」
「いや、無い」
「それとも……」
私がそう尋ねると、穂積さんは大きく息を吐いた。
「早く食べて目的地に行こう。遅くなる」
今度は短く息を吐いて、スプーンを握りしめた穂積さん。やっぱり神辺さんのことを考えてるんだろうと思った。何年も付き合ってきた彼女を、そうそう忘れる人の方が人間としてどうかとも思うし。
食事を終えて再び遊園地に向かう。予想通りの混み具合。駐車場の入口手前で渋滞になる。駐車場の空き待ちの列。十数台。
「混んでるな」
「そうですね。夏休みだし」
運転席の穂積さんを見ると、少し口角が上がっている。嬉しいんだろうか。思い出し笑い、とか。それも違う気がする……。
直に車は駐車場に入り、運良く手前のスペースに停められた。エアコンを切り、エンジンを切り、穂積さんは大きく深呼吸して運転席を降りた。私も続いて降りる。外は快晴、炎天下。旧盆は過ぎて残暑の類に入るんだろうけど、Tシャツから出た腕も黒のレギンスも太陽からの熱をグングンと吸収していく。