ウェディングドレスと6月の雨
無愛想でぶっきらぼうで、そのくせ営業ではキッチリと成果を上げる穂積さんのウィークポイントは絶叫系マシン……という事実。思い出してはニンマリして、そしてボートでの出来事を思い出してドキドキしている。背中に当たった腕、重ねられた手、見つめ合う瞳……。
「おはよう成瀬さん。また大規模なコンペがあるらしいの。聞いたあ?」
「いえ」
先週、機嫌を損ねて私にコーヒー当番を押し付けてきた先輩は何故か、コーヒーの徳用ペットボトルを持って私に注ぎにくる。飲ミニケーションの類で、コーヒーを注ぎ回ることで旬の噂話を入手出来る絶好のポジションを手放すのが惜しかったらしい。
「でね、コンペの担当がまた穂積さんらしくてさあ」
「穂積さんですか」
「本社のご指名みたいよ、また」
穂積さんの実績や実力からしたら当然だし、同じ機種を売り込むなら慣れた穂積さんが適任だと思う。納得の人選。でも先輩は顔をにやつかせる。
「本社指名ってことはさ」
先輩は顔を私の耳元に近付けた。
「……まだつながってんじゃないの? 神辺さんと穂積さん」
「おはよう成瀬さん。また大規模なコンペがあるらしいの。聞いたあ?」
「いえ」
先週、機嫌を損ねて私にコーヒー当番を押し付けてきた先輩は何故か、コーヒーの徳用ペットボトルを持って私に注ぎにくる。飲ミニケーションの類で、コーヒーを注ぎ回ることで旬の噂話を入手出来る絶好のポジションを手放すのが惜しかったらしい。
「でね、コンペの担当がまた穂積さんらしくてさあ」
「穂積さんですか」
「本社のご指名みたいよ、また」
穂積さんの実績や実力からしたら当然だし、同じ機種を売り込むなら慣れた穂積さんが適任だと思う。納得の人選。でも先輩は顔をにやつかせる。
「本社指名ってことはさ」
先輩は顔を私の耳元に近付けた。
「……まだつながってんじゃないの? 神辺さんと穂積さん」