ウェディングドレスと6月の雨
その泡の動きに自分を重ね合わせた。神辺さんをのことは吹っ切れたという穂積さんの言葉を信じるのか、神辺さんとの関係は切れてないという先輩の推測を信じるのか、私の心は揺れている。
高田さんが前菜にと注文した真鯛のカルパッチョとブルスケッタが届く。小皿に取り分けると、さすが女の子だね気が利くね、と私を褒める。話は私の高校時代の部活動や得意科目の話に終始する。コンペの話は?と問えば、とりあえず今すぐじゃなくても、とはぐらかされて。
「真面目で可愛い。成瀬さんって学生時代、モテたでしょ」
「モテません」
「そう? 僕が同じ学校に通ってたらほっとかないな」
「……ありがとうございます」
ははは、そうお礼を言うところも可愛い、と笑いながらグラスに口を付ける。
「彼氏はいるの?」
「いません」
「募集中?」
「いえ」
高田さんは得意そうな顔をしてグラスの液体を飲み干し、バスケットの氷水に浸けていたボトルを取り出して手酌で空のグラスに注いだ。泳ぐ泡、踊る気泡。
「穂積とはどうなの?」
「穂……」
どうなの?と尋ねられても、何の関係もない。ただ、神辺さんを忘れるまでそばにいると私が勝手に宣言しただけ。穂積さんが神辺さんを忘れるか、それどころかまだ続いてるかもしれないのに。穂積さんと神辺さんの不倫関係。
高田さんが前菜にと注文した真鯛のカルパッチョとブルスケッタが届く。小皿に取り分けると、さすが女の子だね気が利くね、と私を褒める。話は私の高校時代の部活動や得意科目の話に終始する。コンペの話は?と問えば、とりあえず今すぐじゃなくても、とはぐらかされて。
「真面目で可愛い。成瀬さんって学生時代、モテたでしょ」
「モテません」
「そう? 僕が同じ学校に通ってたらほっとかないな」
「……ありがとうございます」
ははは、そうお礼を言うところも可愛い、と笑いながらグラスに口を付ける。
「彼氏はいるの?」
「いません」
「募集中?」
「いえ」
高田さんは得意そうな顔をしてグラスの液体を飲み干し、バスケットの氷水に浸けていたボトルを取り出して手酌で空のグラスに注いだ。泳ぐ泡、踊る気泡。
「穂積とはどうなの?」
「穂……」
どうなの?と尋ねられても、何の関係もない。ただ、神辺さんを忘れるまでそばにいると私が勝手に宣言しただけ。穂積さんが神辺さんを忘れるか、それどころかまだ続いてるかもしれないのに。穂積さんと神辺さんの不倫関係。