ウェディングドレスと6月の雨
「僕が選んでくるよ。何系がいい?」
「さっぱりしたもので。カシスとかラズベリーとか」
「分かった。座ってて」
高田さんはショーケースに向かい、ケーキを選ぶ。そう言えばコンペの話をしていない。でもこんな酔った頭で仕事の話も出来ない。ドキドキと鼓動する胸、クラクラとする頭。何しに来たんだろう。運ばれてきたのはカシスとベリーのムース、ミントのソルベ添え。穂積さん……。
デザートを食べ終えてレストランを後にする。外の夜風が心地いい。深呼吸しようと手を広げるとフラリとした。思わずしゃがみ込む。
「大丈夫?」
「大丈夫です。風も涼しいし、少し歩けば……」
「そう。じゃあ駅まで歩こうか」
「はい。え……?」
左の脇の下に温かいものが差し込まれた。高田さんの手。抱きかかえられるようにして立たされた。右隣を見上げる。高田さんの顔。
「転ぶと危ないから支えてる」
「だ、大丈夫です」
「駄目だよ、ほら、もうフラフラしてる」
高田さんに支えられながら駅への歩道を歩く。対向車線の車のライトが眩しい。
「さっぱりしたもので。カシスとかラズベリーとか」
「分かった。座ってて」
高田さんはショーケースに向かい、ケーキを選ぶ。そう言えばコンペの話をしていない。でもこんな酔った頭で仕事の話も出来ない。ドキドキと鼓動する胸、クラクラとする頭。何しに来たんだろう。運ばれてきたのはカシスとベリーのムース、ミントのソルベ添え。穂積さん……。
デザートを食べ終えてレストランを後にする。外の夜風が心地いい。深呼吸しようと手を広げるとフラリとした。思わずしゃがみ込む。
「大丈夫?」
「大丈夫です。風も涼しいし、少し歩けば……」
「そう。じゃあ駅まで歩こうか」
「はい。え……?」
左の脇の下に温かいものが差し込まれた。高田さんの手。抱きかかえられるようにして立たされた。右隣を見上げる。高田さんの顔。
「転ぶと危ないから支えてる」
「だ、大丈夫です」
「駄目だよ、ほら、もうフラフラしてる」
高田さんに支えられながら駅への歩道を歩く。対向車線の車のライトが眩しい。