ウェディングドレスと6月の雨
「一年ぶりに来たメールにドキッとしたけど、ワンピースの話だけだったわ。穂積くんらしいけど」
「でも……。それは私のことかどうかは分かりませんよね」
「名前、聞いたの、私。っていうかどんな女の子なの?って返信したら成瀬っていう総務課の子だって。そういう意味じゃなかったのに、名前を教えるのも穂積くんだなあって」


 神辺さんは微笑みながらハンドルを握る。その横顔は昔を懐かしむような柔らかい笑顔で。

 車は駅のロータリーに着いた。


「支社まで送れなくてごめんね」
「いえ。ありがとうございました」
「穂積くんを宜しくね」
「はい……はい、でいいんでしょうか」


 神辺さんはいいの、と言って手を振ると車を発進させた。







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