ウェディングドレスと6月の雨
「アイスコーヒー……いただきます」
「もう暑いものね。紙ボトルのコーヒー、仕入れたの」
「夏ですね」
「そうよー。成瀬さんの苦手な雷もやってくる時期になったわね」
自席に着いて私はデスクの上に紙袋を置いた。中にはクリーニングに掛けられたワンピースが入っている。午後にに開かれる臨時企画室の会議で穂積さんに返そうと思ったから。
気の重たい理由は会議があるから……。私は大きく息を吐いた。
「成瀬さんが溜息なんて珍しい。臨時企画室は忙しい?」
「初めてのことなので手間取る分、忙しくしてるのかもしれません」
「手伝うから何でも言って」
「ありがとうございます」
臨時企画室も本格的に稼働し始めた。総務の仕事と掛け持ちで忙しくなってきたのもあるけれど。始業前だけど、私はパソコンを立ち上げて受信メールを確認する。気の重たい理由は企画室会議の空気。