ウェディングドレスと6月の雨
 私は俯いて膝の上で自分の手を自分の手で握っていた。聞こえるのはコポコポというコーヒーメーカーの音。そして、自分の心臓の音。後ろで揺れるカーテンの音。風の音。

 そのときだった。


「きゃあっ!」


 突如聞こえた轟く低音。思わず手で頭を抱えて屈んだ。雷……。


「大丈夫か?」


 次に聞こえたのは、足音。そして穂積さんの声。


「……はい」
「雷だな。天気良かったしな」


 背後でサッシを閉める音。そのサッシの向こうから再び雷鳴が聞こえた。


「きゃあっ!」


 そして、次の瞬間、肩に触れたのは穂積さんの手……。


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