ウェディングドレスと6月の雨
ワンピースを見送って海から上がる。私は木綿のセーターにスカートだったから、濡れたのはブーツとスカートで済んだけれど、穂積さんはジーンズ。生地が海水を吸い上げて濃紺に染まっている。お互いにお互いの足元を見たあと、顔を上げて目を合わせる。穂積さんの優しい眼差しに胸がきゅんとして、私は再び足元に視線を戻した。
「さて、どうするか」
「来る途中にカジュアル系のショップがありましたけど、ファミリー向けの。あそこなら男女の服も靴も揃いそうですけど」
「買いに行くか」
「そうですね」
駐車場に戻り、ブーツに付いた砂をはらう。穂積さんはスニーカーを脱いでソックスも脱いで後部座席の足元に置いた。そうしてから運転席に乗り込んだ。
「ほら、乗れよ」
「はい。でもスカート濡れてるし」
「シートカバーは外して洗濯出来るから気にしなくていい」
「じゃあ、遠慮なく」
私はそっと浅く腰掛けて助手席に乗り込んだ。穂積さんはエンジンを掛けると車をバックさせる。左手を助手席のシートの肩に置いて後ろを見ながら。
「……」
ドキドキしてしまう、そんな小さな仕草にも。恥ずかしくて前だけを向く。
「さて、どうするか」
「来る途中にカジュアル系のショップがありましたけど、ファミリー向けの。あそこなら男女の服も靴も揃いそうですけど」
「買いに行くか」
「そうですね」
駐車場に戻り、ブーツに付いた砂をはらう。穂積さんはスニーカーを脱いでソックスも脱いで後部座席の足元に置いた。そうしてから運転席に乗り込んだ。
「ほら、乗れよ」
「はい。でもスカート濡れてるし」
「シートカバーは外して洗濯出来るから気にしなくていい」
「じゃあ、遠慮なく」
私はそっと浅く腰掛けて助手席に乗り込んだ。穂積さんはエンジンを掛けると車をバックさせる。左手を助手席のシートの肩に置いて後ろを見ながら。
「……」
ドキドキしてしまう、そんな小さな仕草にも。恥ずかしくて前だけを向く。