ウェディングドレスと6月の雨
 直にショップは開店して、2人で中に入る。店員さんに事情を話して購入後に試着室で着替えさせてもらえることになった。

 ファミリー向けショップといえどもメインは女性の服、入口正面にはレディースの秋冬物が並んでいた。それをチラチラとみながら奥に進む。店内中央にはファミリー向けのペアルックが飾られていた。焦げ茶にベージュとブルーのラインが入ったシンプルなデザイン。穂積さんも私も立ち止まる。


「これ、どうだ?」
「そうですね」


 近くにある棚から同じデザインの服を探してサイズを見る。穂積さんも私も一目惚れしてそれにしたのはいいけれど、突然のペアルックに恥ずかしさでいっぱいになり……。

 更に。レジで会計を済ませたあとは隣り合わせの試着室。穂積さんは気にも留めてないなようで、サイズは大丈夫か?、きつくないか?、と話しかけてくる。こっちは下着姿でいるのに。

 それだけなら、ともかくも。男女マネキンの間には幼児服、もちろん、おそろい。パパママキッズ、同デザインで。僅か2時間前にキスをして付き合うことを決めたのに。家族の姿、穂積さんと私と、子ども。

 早すぎるとは思うけれど脳内に浮かんでしまう……。私は頭をブンブンと横に振った。

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