ウェディングドレスと6月の雨
 寒いから中に入ろう、と穂積さんは私の背中を押した。コランコロン、ドアに付いていた鐘が鳴る。カウンターもあるけれど、中はバーというよりはレストラン。白壁に床はダークブラウンのフローリング、店内のあちこちにプランターや観葉植物があって、1号店が海をイメージするなら2号店は森林のイメージ。

 一番奥のテーブルに通された。予約時に日替わりランチを注文していたらしく、すぐに前菜が出て来た。綺麗に盛り付けられた魚貝のマリネ、サラダ。


「ステキなお店ですね。2次会なんかに打ってつけですね」
「2次会……ああ、そうだな」


 穂積さんはいつもより言葉少なで。


「穂積さん、何かお話があるんですか?」
「ああ」


 時期的にクリスマス。プレゼントのリクエストとか、そんな話かな、と勝手に予想はしていて。私は月並みだけどネクタイかシャツか、その辺りをプレゼントしようと思っていて。もらうなら使うものの方がいいし、私が贈ったネクタイを締めてもらえたら嬉しいし、そんなことを考えていた。

 私は……もらうならアクセサリーがいいけれど、指輪は早いし、ネックレスとかブレスレットとか、リクエストしようと思ってはいて。

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