ウェディングドレスと6月の雨
「じゃあ、“ゆっくり”可愛がってあげる」
「……」
「“覚悟”は出来てんだろ?」
「……」
穂積さんは再びフォークを持ってご飯を食べる。私はフリーズしたまま動けなかった。もう喋る余裕もない。食べるのが精一杯。食後のミニケーキもお腹に入らない。席を立って穂積さんが会計をして、外に出る。穂積さんはブルリと震えたけど、私は緊張して寒さすら感じなかった。
駐車場の車に乗り込む。いつものように穂積さんは運転席から身を乗り出し、私にキスをする。触れて、すぐ離れる。
「穂積さ……ん……」
「喋るな」
「だっ……」
て、を言おうとして、唇を塞がれて、中途半端に開いた唇に互いの唇が挟まって……。穂積さんはそのまま何度も何度も私の唇をはむ。クリスマス……それか年末年始のお休み。この人に抱かれる。そんなことを思いながら穂積さんの唇を受け入れる。
しばらくして穂積さんは唇を離した。