ウェディングドレスと6月の雨
馬鹿なことを聞いた。誰が作った、って、神辺さんに決まってる。神辺さんは穂積さんの部屋にも入った、ということ……。
当たり前か。計算したら6、7年付き合ってたんだから、既婚者とは言えども1度や2度お泊まりしてもおかしくはない。穂積さんのクルマは駅のロータリーを出発してマンションに向かう。わたしも穂積さんも喋らず、ただ前を向く。久しぶりの道を走り、穂積さんのマンションに着いた。
車を降りて穂積さんはトートを持ってくれた。2人でエレベーターに乗り、穂積さんちのドアの前に行く。小さなカードキーで開錠すると穂積さんはドアを引いた。顎でしゃくる。
「お邪魔します」
屈んでブーツのファスナーを下げる。こういうのって、何となく、みっともない。泊まることに精一杯で履き物のことなんて考え方てなかった。過去に2回着ているけれど、サンダルですぐに脱ぎ履き出来たから。片足を上げて脱ぐ。もう片足を上げたとき少しよろけた。
「大丈夫か?」
穂積さんに肘を掴まれた。ニット越しに伝わる大きな手。目の前には穂積さんの顔。真顔。
「……はい、すみません」
「いや」
「……」
「……」
当たり前か。計算したら6、7年付き合ってたんだから、既婚者とは言えども1度や2度お泊まりしてもおかしくはない。穂積さんのクルマは駅のロータリーを出発してマンションに向かう。わたしも穂積さんも喋らず、ただ前を向く。久しぶりの道を走り、穂積さんのマンションに着いた。
車を降りて穂積さんはトートを持ってくれた。2人でエレベーターに乗り、穂積さんちのドアの前に行く。小さなカードキーで開錠すると穂積さんはドアを引いた。顎でしゃくる。
「お邪魔します」
屈んでブーツのファスナーを下げる。こういうのって、何となく、みっともない。泊まることに精一杯で履き物のことなんて考え方てなかった。過去に2回着ているけれど、サンダルですぐに脱ぎ履き出来たから。片足を上げて脱ぐ。もう片足を上げたとき少しよろけた。
「大丈夫か?」
穂積さんに肘を掴まれた。ニット越しに伝わる大きな手。目の前には穂積さんの顔。真顔。
「……はい、すみません」
「いや」
「……」
「……」