ウェディングドレスと6月の雨
「あ……」
頭に一粒の水滴……。見上げると大粒の雨がこちらに向かってやって来る。どうやら降り出したらしい。夕立。急いで駅に向かおうと前を見ると、封筒を頭に乗せて走るサラリーマン、折りたたみ傘をカバンから出した女性、ビルの軒先に身を寄せる年配者……そんな慌ただしい光景が見えた。駅までは400メートル、ダッシュで行けばなんとか濡れずにすむかもしれない。
「わ……」
でも軍配は雨雲に上がる。更に勢いをつけて降り出した雨はシャワーのように私に襲いかかる。雨の勢いは容赦なく、バケツをひっくり返したような豪雨になり。
突如聞こえたのは雷。
「きゃあ!」
あまりの轟音に耳を塞いでしゃがみ込む。そしてもう一度大きな音が鼓膜を突いた。