ウェディングドレスと6月の雨
「いつまでしゃがんでるんだ。遅くなる、摺り合わせを」
「……はい」
「まだ怖いのか?」
「……いえ」


 穂積さんは再びクスクスと笑う。さっきまで重たい会話をしていたのに彼は平然としている。でも私は穂積さんが離れた後も速い鼓動は治まらなくて、痛いほどに心臓はバクバクと動いて、ひょっとしたら私は穂積さんを意識してるのかもしれない、と思い始めた。







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