ウェディングドレスと6月の雨
 雷は苦手。


「きゃ……え?」


 雷鳴とは違う音質、音の大きさは一定で、しかも高めの……クラクション。横の道路を見る。停まっていたのは軽自動車、ドアに書かれたロゴからうちの社用車だとすぐに分かった。スーツの男性が運転席から身を乗り出して助手席のドアを開けた。


「穂……」


 穂積さん?


「……」


 彼は無言で私を睨むように見て、顎でしゃくった。


< 5 / 246 >

この作品をシェア

pagetop