ウェディングドレスと6月の雨
週明け。どんよりした梅雨独特の空。湿度も高く、立っているだけでも汗をかく。でも自動ドアを潜り抜けた瞬間、その汗も引いた。涼しい。
夕方からは会議。臨時企画室の最後の会議だ。もう穂積さんとも会えなくなる。
「また遅刻か。全く穂積くんは。契約が決まったからいいものの」
お茶を啜る営業部長。イヤミな台詞とは裏腹に満面の笑みを浮かべている。コピー機200台を契約したのだから当然だけれども。無事に契約に漕ぎ着けて、製品部もホッとしている表情。工場から来ている代表はこれからの生産体制に意気込みを見せている。皆が概ね明るい表情の中、冴えない顔をしてるのは広報室の高田さん。同期のお手柄に手放しで喜べない、といったところ。
ガチャリ。後方のドアがな開く。穂積さんだ。相変わらず無愛想に私の前に来て私を睨むと資料を奪い取り、前方の席へ歩いていく。私は怖くはなかった。こんな無愛想でぶっきらぼうな穂積さんは演技で作られたものだと知ったから。わざと嫌われる仕草をする。わざと人を寄せ付けないオーラを放つ。それは噂から彼女を守るためだ。営業成績のいい穂積さんがヘラヘラと社内で笑えば、もっと槍玉にあげられる。
夕方からは会議。臨時企画室の最後の会議だ。もう穂積さんとも会えなくなる。
「また遅刻か。全く穂積くんは。契約が決まったからいいものの」
お茶を啜る営業部長。イヤミな台詞とは裏腹に満面の笑みを浮かべている。コピー機200台を契約したのだから当然だけれども。無事に契約に漕ぎ着けて、製品部もホッとしている表情。工場から来ている代表はこれからの生産体制に意気込みを見せている。皆が概ね明るい表情の中、冴えない顔をしてるのは広報室の高田さん。同期のお手柄に手放しで喜べない、といったところ。
ガチャリ。後方のドアがな開く。穂積さんだ。相変わらず無愛想に私の前に来て私を睨むと資料を奪い取り、前方の席へ歩いていく。私は怖くはなかった。こんな無愛想でぶっきらぼうな穂積さんは演技で作られたものだと知ったから。わざと嫌われる仕草をする。わざと人を寄せ付けないオーラを放つ。それは噂から彼女を守るためだ。営業成績のいい穂積さんがヘラヘラと社内で笑えば、もっと槍玉にあげられる。