ウェディングドレスと6月の雨
春の海、夏の海。誰とドライブに来たのだろうって。遠かった海岸線も目の前に迫り、寄せる白波もはっきりと見えてきた。浜辺は海水浴に来ている人達で埋め尽くされている。沢山のビーチパラソル、簡易テント。そしてそれと比例するように道路沿いに点在している駐車場には全て満車の看板が掲げられていた。
穂積さんを見ると相変わらず指でハンドルを叩き、リズムを取りながら鼻歌を歌っている。
「あの」
「この先に駐車場がある」
綺麗な弧を描いた砂浜も終わりに近づいた。穂積さんはウィンカーを出して、海岸線の道路から外れた。山手へ向かう。うちの会社の研修施設のある方角だ。まさか研修所に……と思ったところで、とある保養所の駐車場に車を入れた。そして駐車枠に車を停めると穂積さんはエンジンを切った。
「ここは?」
「ああ。知り合い」
「知り合い?」
穂積さんは車を降りて、窓の向こうの事務員らしきおじさんに会釈をした。むこうも片手を上げて穂積さんに応える。穂積さんは駐車に了解を得て、振り返り、助手席にいた私に親指を立てて降りるように促した。行こう、そう唇を動かして。
穂積さんを見ると相変わらず指でハンドルを叩き、リズムを取りながら鼻歌を歌っている。
「あの」
「この先に駐車場がある」
綺麗な弧を描いた砂浜も終わりに近づいた。穂積さんはウィンカーを出して、海岸線の道路から外れた。山手へ向かう。うちの会社の研修施設のある方角だ。まさか研修所に……と思ったところで、とある保養所の駐車場に車を入れた。そして駐車枠に車を停めると穂積さんはエンジンを切った。
「ここは?」
「ああ。知り合い」
「知り合い?」
穂積さんは車を降りて、窓の向こうの事務員らしきおじさんに会釈をした。むこうも片手を上げて穂積さんに応える。穂積さんは駐車に了解を得て、振り返り、助手席にいた私に親指を立てて降りるように促した。行こう、そう唇を動かして。