バス停
雨はあがり、空は灰色にやや白の絵の具を混ぜたような、うす曇りになった。国立駅に向かって歩く学生の一団の中に
ちらほら同級生の姿がみてとれてる様になった。もう授業は終わったのだろう。私は結局切符を払い戻してもらい国立に戻ってコーヒーショップに寄った。そしてひたすら煙草をふかし抹茶フラペチーノのクリーム部分をストローでつついていた。
周りの若者のにぎわいと私の周りを包む空気とは 全く別世界に思える。

バス停で会った時には少なくとも好意的な態度を示してくれた様に思う。 いゃしかし今にして思えば、それも私の勘違いだったのかもしれない。だけどどうして。最初に図書館で会った時はとても優しかった。
もしも私が恋愛感情など持たなければ先生があんなに迷惑そうな顔をする事もなかったのかもしれない。

最初に出会った時から考えて、先生はいつから私を迷惑に思うようになったのだろうか。
私は自然と溜息をついた。
もはや堂々巡りだ。答えはでない。考え疲れた私はふと気を紛らわせる為に化粧ポーチからコンパクトを取り出し涙でにじんで取れかかった化粧を直すことにした。

マスカラは少し禿げてアイラインは完全に溶けて消えていた。先生と一緒にいる時も私はこんな顔をしていたのかな?先生の授業がある水曜日だけはいつも早起きをして化粧をしていた。それに胸元が大きくあいたブルーのカットソーとインナーに黒字にピンクの花柄のキャミソールを合わせた服はオシャレに疎い私なりの頑張りだった。私の席は一番前だから胸の谷間を強調してセクシーをアピールする為に。

約一ヶ月の実習を終えた後の最初の授業だった今日。とんだ日になってしまった。
< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop