バス停
やっと家に帰りつくと時刻は19時をまわっていた。シャワーを終えてバスルームから出てくると珍しく携帯電話のランプが点滅しており、一件の新着メールに気がついた。
彼女からだ。 別れ際にメールアドレスを交換したのだった。そこには絵文字でコーティングされたキラキラ派手な文字が並んでおり
「今日はありがとう。初めて話したけど楽しかったょ。先生の事がんばろうね」という内容の事が印されていた。

なんて返していいのかも よく分からなかったので とりあえず私も「そうだねありがとう。」と返した。メールを打ちながら彼女は多分本気で私の恋を応援するというよりも普段誰とも関わり合わない私と話ができたうえに私の秘密を握った事が嬉しいのかもしれない。
と思った。彼女は別れ際に「仲良くなれて嬉しい。私、あなたと気が合うと思った」と言っていた。
正直いうと私も同じ事を前から考えていた。私と同様、あまりグループの付き合いなどに固執したりせず、昼休みなど気ままに一人で弁当を広げている姿をよくみかける。だから何となくいつも気が合うような気がしていた。でも私と大きく違うのは、別に友達がいない訳でも一匹狼を気取っている訳でもなく むしろ、いたって社交的だ。男子と学校の中庭に設けられている喫煙所でケラケラ笑いながら会話したり、同じクラスの派手な女の子の恋愛相談なども受けているし時には違うクラスの女の子まで彼女と話したがってくるほどだ。

いわゆる姐御肌というやつか。ワンルームの部屋の壁側にポツンと置かれた白くて小さなベッドに 私は腰をかけた。レースのカーテンは風に舞い上がりベランダに干しっぱなしの洗濯物が揺れている。まるで私の心の様に。
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