バス停
図書館
あの日も雨が降っていた。それは二年の前期の授業が始まってすぐの日。突然の雨が降った。

窓を叩く激しい雨音が耳に痛い。みんなが友達同士、あるいは恋人同士で体を寄せ合いながら折りたたみ傘やビニール傘をシェアし 声をあげながら走って帰っていく。

傘をさし合う相手もいない私は仕方なく図書館でパソコンのキーボードを叩いてレポートを作っていた。毎週学年全員で学校が呼んだゲストの話を聞く授業があるのだが、 生徒はゲストの話を聴いた後で感想のレポートを作成しなければならないのだ。

友達のいない私は一人でレポートを作る時間が１番落ち着く。周りにクラスメイトがいると聞きたくもない様々な話し声が耳障りでどうしても集中できない。本当は話しに参加したいのにできない苛立ちが余計に話し声を耳障りに感じさせるのだ。
課題も一段落したところでいよいよプリントアウトしようとしたら画面上に紙詰まりを知らせる表示が出た。
あいにく周りに人はおらず仕方なくプリンターの蓋を開けたりしたものの どうしたら良いか全く分からない。
その時、私の背後に人の気配がしたかと思うとふと白く長い指が伸びてきた。甘いオーデコロンの香りと共に。
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表紙・目次

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